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スタッフ・インタビュー
「都市は漂う 東京-ベルリン2005」をめぐって
横井一江 ジャズ・ジャーナリスト。「東京-ベルリン2005」アーティスト・コーディネイター 高和弘 杉並区役所職員。「東京‐ベルリン2005」サポーター。「阿佐ヶ谷ジャズ・ストリート」実行委員 聞き手 稲岡邦弥 「JazzTokyo」編集長。「東京‐ベルリン2005」サポーター ♪ ベルリンから「LOK.03」がやってくる
Q 「日本におけるドイツ年」ということでドイツ関係のイベントが賑やかですね。LOK.03もベルリンからやってきます。高 杉並区のイベントは「ドイツ年」協賛です。 Q そもそもLOK.03というのはどういうグループですか? 横井 ベルリンのピアニスト、高瀬アキとアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハにターンテーブルのDJイルヴァイブが加わったトリオです。活動を始めたばかりのユニットで、LOKは蒸気機関車 locomotive から来ていると聞いています。 Q CDは発売されているのですか? 横井 イギリスのレオ・レコードから今年の3月に発売されました。ベルリンを出て最終地の大阪まで世界各地の19都市を3人(03=3人)、が“汽車”(locomotive)に乗って巡る、という想定です。 Q そのLOK.03とサイレント・ムービー「伯林-大都会交響楽」をベルリンから招待した企画が展開されるわけですね。まず、杉並区からスタートですが、杉並区は高瀬アキさんとシュリッペンバッハのイベントは2回目になりますか。 高 最初の企画は1995年にお二人が出演した「ベルリンから愛を込めて」というシネマとジャズの夕べでした。「日曜日の人々」というやはりドイツのサイレント・ムービーにお二人が即興で音楽を付けました。二部では梅津和時さんと井野信義さんが参加してモンク・メドレーなどの演奏がありました。個人的にはそれ以前にアキさんの東久留米でのコンサートをお手伝いし、1996年にはお二人が主宰するビッグバンド「ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ」の来日ツアーに実行委員会の一員として協力させていただきました。お二人のつねに前向きな姿勢と誠実な人間性に惹かれています。 ♪ 杉並ゆかりの出演者が
Q 出演者に杉並区ゆかりの方が多いということですが。高 白石さんは西荻窪、柴田さんは南荻窪にいずれもお住まいで、井野さんは阿佐ヶ谷出身、それに伊藤君子さんは2回目の阿佐ヶ谷ジャズ・ストリートに出演という杉並とのご縁がありました。また、白石さんは紫綬褒章受賞の栄誉にも浴され、杉並を代表する文化人です。その世界的詩人である白石さんが杉並区内で作品を発表する機会がこれまでなかったので、今回の「ドイツ年」を機会に、ぜひ、ということもありました。 Q 横井さんは日本でのお二人の影のプロデュ‐サ‐的存在ですね。 横井 私も長いお付き合いです。毎年、ベルリンに出掛けた時、日本に帰国なさった度にお会いしています。高瀬アキさん自身も以前から白石さんの詩に大変興味を持っておられ、ぜひ曲を付けたいということで、白石さんのご了解も得て、何曲か作曲されたのです。それをぜひ日本のコンサートで発表したい、という夢が今回の企画で実現しました。白石さんは杉並区在住なので、杉並区文化・交流協会が主催を引き受けて下さり、この企画の発表に、より相応しい場が提供されたと嬉しく思っています。 ♪ 杉並の第一部は「キネマ&ムジーク」
Q 杉並の第一部は「キネマ&ムジーク」ですね。これはフィルムを上映するのですか。高 日本にはフィルムが存在しておらず、横井さんに手を尽くして所在を突き止めてもらいました。 Q ところで、「伯林-大都会交響楽」という映画はどういう内容ですか。 横井 1927年の製作で、ベルリンの1日をドキュメンタリー・タッチで捉えたものです。かなり大胆な編集が施されていますね。ロシアのドキュメンタリー映画の監督ジガ・ヴェルトフ、また、当時の美術界で用いられていたコラージュによる画面構成の影響を感じます。ドイツ映画で最初にカメラが撮影所から出た作品でもあります。ヴェルトフの有名な作品「カメラを持った男」もそうなのですが、この「伯林-大都会交響楽」もさまざまな音楽家が音楽を付けたがる映画なのですよ。シネマ・コンサートも行われているそうですが、今回の組み合わせは最強のものだと思っています。少し前にフィリップ・グラスのシネマ・コンサート(「美女と野獣」、「ドラキュラ」)がありましたね。グラスは作品として書いていますが、LOK.03の場合は即興で音を付けていきます。 高 いわば、ワイマール文化の下でナチスが登場する前の絢爛のベルリンの一日を描いた作品といえるでしょうね。 ♪ 20年代は面白い!
Q 20年代というのは世界的にもなかなか面白い時代ですよね。横井 4年間続いた第一次世界大戦が1918年末に終わってドイツの帝政が倒れた。大きなパラダイム・シフトが起こった時代でもあります。映画、音楽、表現主義、ダダ、いろいろな文化が花開いた。レヴューやヴァリエテが大衆娯楽として人気を呼び、ナハト・レーベン(夜の生活)も盛んに。 Q 少なくとも第二次大戦勃発までの20年間はね。高さん、ジャズの世界でもいろいろありましたよね、20年代は。 高 アメリカはいわゆる“ロアリング・トゥエンティーズ”、狂乱の20年代ともジャズ・エイジともいわれます。また、禁酒法の時代でもありましたよね。クラブで盛んにジャズが演奏された時代です。 Q 先日、上野で「ア‐ル・デコ展」を観たのですが、アール・デコもこの時代のムーブメントですよね。最近、ファッションやインテリアなどでもアール・デコをあらためて採り入れよう、という動きがあるようですが。 横井 このサイレント・ムービーにも、当時の風俗が出ていますよ。まず、女性の服装。日本でいうモボ、モガですね。20年代のベルリンは都市文化が花開きました。その雰囲気が伝わってきますね。夜のシーンでは、当時の娯楽の殿堂での様々なショーが映し出されます。有名なヴァリエテ「ヴィンター・ガルテン」や「スカラ」のようです。また、ほんの少しですが、ジャズを演奏していると思われるシーン、チャールストンを踊っている場面も。 ♪ 第2部は「ジャズ&ポエトリー」
Q 第2部は「ジャズ&ポエトリー」ですね。横井 白石さんの詩がテーマです。ボーカルは伊藤君子さんと柴田暦さん。LOK.03のメンバーにベースの井野信義さん。作品の持ち味がだせるように、出演者の組み合わせを変えたり、ヴィジュアルにシオバラタクさんのベルリンのスチールを用いたりと、趣向を凝らしたものになるでしょう。高瀬アキさんは、ステージ構成でも才能があって、作家多和田葉子さんとのデュオ・パフォーマンスの時にはとても感心させられました。きっと素晴らしいステージになると思います。現在、白石さんにこのコンサートのために短い詩を書いていただくようにお願いしておりますが、その自筆原稿を映し出すことも考えています。白石さんの書、というか書かれた文字がまたとても味わい深いんですよ。 Q 白石さんのポエトリー・リーディングもありますか。 横井 もちろんです。白石さんはポエトリー・リーディングの第一人者、日本におけるパイオニアですね。世界各国の詩祭にも招かれ、朗読なさっています。朗読と演奏家のインタープレイ、しかも即興的なものでは、世界的に見てもこれほどのパフォーマンスを出来る人はごく僅かです。 ♪ 杉並のあとも...
Q 杉並のあとはどんな予定ですか。横井 全部で5ヶ所廻りますが、杉並以外の上映はすべてビデオを使います。静岡、横浜、大阪です。他はピアノは1台ですが、大阪ではピアノ2台で演奏しますよ。また、新宿ピットインでは、別のプログラム”シュリッペンバッハ・スペシャル・セッション”、セロニアス・モンクから即興まで、日本人ミュージシャンも加えてやります。今年発売されたシュリッペンバッハの『モンクス・カジノ』は欧米では大きな話題となっているんですよ。もちろんメンバーが違いますので、演奏内容は変わってきますけど。そうそう、シュリッペンバッハはトランペットも吹くのです。新宿ピットインではそれも聞くことが出来るかもしれませんね。他に三重大学ではワークショップも行います。 Q フィルム上映は杉並だけですから映画ファンも要注目ですね。 |
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